
ふっくらした多きなつぼみができたのを見て、王子さまはそこから奇跡のようなものが現れるのだろうと感じた。
だが花は緑の部屋にかくれたまま、美しくなる支度にかかりきりだった。
念入りに色を選んで、ゆっくりドレスをまとうと、一枚一枚花びらを整えた。
ヒナゲシみたいにしわくちゃで、出ていきたくはなかったのだ。
美しさでまばゆいばかりに輝いて、姿を現したかった。
そう!とてもおしゃれだったのだ!
こうして秘密の身支度は何日も何日も続いた。
そしてようやくある朝、ちょうど日の出の時刻に、花は姿を現した。
そうして、すみずみまで隙のない装いを終えたというのに、あくびをしながらこう言った。
「ああ!今、目が覚めた所なの・・・あら失礼・・まだ髪がくしゃくしゃね・・」
サン=テグジュペリ・星の王子さま 河野万里子訳より

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